公証人が作成するのが「公正証書遺言」。

公正証書遺言のメリットは、ずばり信用性と安全性です。

自分で手書きで作成する自筆証書遺言と比べ、形式を満たしていないなどの理由で無効になるリスクがなく、法律的に正しい形式で遺言を作ることができるのが、公正証書遺言です。

公正証書遺言は公証役場で公証人が作成します

自筆証書遺言が自分の手書きで作成するのに対し、公正証書遺言は公証役場で作ります。

※病気などで公証役場に行けない場合には、日当などが別途かかりますが、公証人が出張して作成することもできます。

2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人がパソコンで作成し、遺言者に記載された内容で間違いないかどうかを確認して最後に署名・押印をして完成させます。

2人以上の証人の立ち会いが必要

公正証書遺言は2人の証人の立ち会いのもと作成されます。

証人は、遺言者本人が自らの意思で(誰に強要されるでもなく)遺言を遺すということ、認知症などにより判断能力(遺言能力)が欠けた状態でないこと、などを確認するために立ち会います。

証人は、成年であれば基本的に誰でもなることができますが、遺言者の相続人や受遺者など、遺言者の遺産に利害関係のある人はなることができません。

証人になってくれる人に心当たりがない場合は、行政書士などの専門家または公証役場に相談してください。

謝礼が必要ですが、紹介してもらえます。

公正証書遺言の作成に必要な書類とは?

公正証書遺言を作成する際に必要な書類は以下の通りです。

遺言者の発行から3か月以内の印鑑登録証明書
遺言者の戸籍謄本
遺言者と受益相続人の関係性が分かる戸籍謄本
財産を相続人以外の人(受遺者)に遺す場合は、受遺者の住民票
遺産に不動産が含まれる場合は、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
固定資産税納税通知書(または固定資産評価証明書)
預貯金の通帳のコピー
証人を知人に依頼する際には、その人の名前、住所、生年月日、職業がわかるメモ
遺言執行者を指定する場合は、その方の名前、住所、生年月日、職業がわかるメモ

なお、ケース・バイ・ケースで、他の書類を求められることもありますので、公証役場に確認が必要です。

公正証書遺言のメリットとデメリット

公正証書遺言のメリット

信用性・安全性が高い

遺言者が自身で作成する自筆証書遺言に比べて、裁判官や検事を経験した法律のプロで準国家公務員の公証人が作成するため、形式の不備などにより遺言書が無効になることがありません。

また、原本が公証役場に保存されるため、ご家族など利害関係者による変造・偽造・隠蔽の心配もありません。

また、公証役場には遺言の検索システムがあり、公正証書遺言の有無を確認することができるため、せっかく作った遺言書が発見されないリスクも軽減されています。

検認手続きが不要

自筆証書遺言の場合には、遺言者の死亡後、家庭裁判所による検認手続が必要ですが、公正証書遺言の場合には、作成時に公証人による形式のチェックが済んでいるため、検認が不要です。

このため、公正証書遺言は、自筆証書遺言よりも、すみやかに遺言の執行に着手することができます。

手書き不可・外出不可でも作成できる

公正証書遺言は公証人が作成するので、病気・老齢などにより自書ができない方でも、遺言書をを遺すことができます。

また、病気や体の不自由などにより、公証役場まで行けない場合でも、公証人が出張してくれるので遺言書を作ることができます。

公正証書遺言のデメリット

自筆証書遺言のように手軽には作成できない

紙とペンがあればすぐにでも作成できる自筆証書遺言とは異なり、公正証書遺言は公証役場での手続きになりますので、事前に必要書類を集めたり、公証人とのスケジュール調整など、準備が必要です。

公証人手数料がかかる

自筆証書遺言との最大の違いは、公正証書遺言を作るには、公証役場に対して公証人手数料がかかることです。

公証人がチェックするのは、法律的に間違いがないか「だけ」です

公正証書遺言の作成にあたり公証人がチェックするのは、遺言の内容について、法律的に間違っていないか「だけ」です。

逆に言えば、相続対策として、残された遺族にとって、配慮が行き届いた遺言内容であるかどうかは、チェックされません。

相続対策として、配慮が行き届いた遺言にするためには、行政書士などの専門家によるアドバイスを受ける必要があります。

公正証書遺言の作成には行政書士のサポートを

以上述べたように、公正証書遺言にはメリットとデメリットがありますが、最も信用性と安全性の高い遺言であることは間違いありません。

費用がかかってしまうというデメリットもありますが、残される遺族にとっては自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が遺言の執行には便利です。

そのような遺族の利便性のために、あえて費用のかかる公正証書遺言を作るという考え方をする方も多いです。

また、自筆証書遺言にしても、公正証書遺言にしても、重要なのは、記載されている内容が、遺族にとって、円満にスムーズにトラブルなく、相続手続きができることです。

そのためには、遺言の文案を慎重に検討する必要があります。

その際には、行政書士などの専門家のサポートをご利用ください。

■■■■■■■■■■■■■■■■詳しくはこちらをご覧ください

主なサービスメニュー