日本の法律では、同性婚は認められていません。
したがって、同性婚のパートナーには、一切の相続権がないことになります。
どんなに長い間連れ添っていても、異性同士の法律婚(戸籍を入れている婚姻)でなければ、相続に関しては他人と同じ扱いになります。
同性のパートナーは、法定相続人にはなれないのです。
そこで、同性のパートナーに財産を残したい場合には、法律婚の配偶者の場合と異なる、別の方法が必要です。
その方法の1つ、第一の選択肢が遺言です。
遺言では、法律上、相続人ではない人に対しても、遺産を渡すことが指定できます(遺贈)。
遺言で遺贈をしておくことで、自身が亡くなった後、同性のパートナーに遺産を残すことができるのです。
ただし、遺言で遺贈をする場合でも、同性のパートナーと、法定相続人が疎遠であったり、不仲な場合には、遺産を分ける割合について配慮が必要です。
同性のパートナーと法定相続人の間には、利害の対立、紛争が生じやすいからです。
こういったトラブルを避けるためには、遺言に付言として、法定相続人に対してメッセージを残し、同性のパートナーに遺産を渡すことの理由を説明する、また、法定相続人となる人の遺留分以上は最低でも渡してあげる、といった配慮が考えられます。
同性のパートナーに財産を残す方法としては、遺言以外にも、
生鮮贈与を活用する
生命保険の受取人に同性のパートナーを指定する
特別縁故者として財産を受け取ってもらう
などの方法があります。
ただし、特別縁故者の制度は、法定相続人が一人もいないこと、亡くなった方と生計が同一であったことなど、いくつかの条件があり、ハードルが高い方法です。
遺言を作成して、遺贈をする、これが同性のパートナーに財産を残す、最もスタンダードな方法と言えるでしょう。